●Yahoo!ニュース CNN.co.jp 9月20日
米国産のコメに「懸念される」濃度のヒ素? 消費者団体が摂取制限勧告
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120920-35021974-cnn-int
(CNN) 米消費者団体が発行する有力誌「コンシューマー・リポーツ」は、1日に1回の頻度でコメを食べると、体内のヒ素濃度が少なくとも44%上昇する可能性があるという調査結果を公表し、コメの摂取量の制限を勧告した。これに対して業界団体や専門家からは、コメのヒ素濃度は憂慮するほどのレベルではないと反論する声も出ている。
コンシューマー・リポーツは乳幼児向けのシリアルから米粉入りパスタや飲料まで、コメを使った食品約60種類を調査した。その結果、多くの製品から「懸念される」レベルの無機ヒ素が見つかったと結論付けた。
ヒ素の濃度は白米の方が玄米よりも低いことが判明。米国内の産地別にみると、アーカンソー、ルイジアナ、ミズーリ、テキサスの各州で生産されたコメは濃度が高い傾向にあった。
米疾病対策センター(CDC)によれば、無機ヒ素は肝臓、膀胱(ぼうこう)、肺などのがんとの関係が指摘されている。
同誌は調査結果を受けて、1週間に消費するコメの量は乾燥した状態で4分の1カップで2杯以内に抑えた方がいいと勧告。5歳未満の幼児についてはコメを使った飲料を日常的に飲ませることを避け、コメを使った乳児用のシリアルは1日1食以内に抑えることを勧告している。
調査を実施したコンシューマー・リポーツの研究者は、この結果を公表したのはコメの消費に対して恐怖感を与えることが目的ではなく、「米に含まれるヒ素についての調査結果は消費者に知らせるべき」との判断に基づくものだと語り、「消費者が少なくとも自分で行動を起こす手助けをしたかった」と話している。米政府に対しても基準の設定を求めているという。
現時点で米政府は、食品に含まれるヒ素濃度についての基準を定めていない。ただ、飲料水については環境保護局(EPA)の基準があり、ニュージャージー州は独自にEPAよりさらに厳しい基準を設定している。
今回の調査対象となった食品の約40%はヒ素濃度がニュージャージー州の基準を上回る一方、全商品ともEPAの飲料水基準の範囲内だった。
一方、米食品医薬品局(FDA)も19日、コメおよびコメを使った食品約200種類のヒ素濃度に関する調査の速報値を発表した。ヒ素濃度はコンシューマー・リポーツの調査とほぼ一致していたが、FDAは「現時点でのデータや科学文献から判断すると、コメとコメ製品について消費行動を変えるよう促すに足る科学的根拠は存在ない」と指摘。年内に1200種以上の食品を調べ、追加の勧告を出す必要があるかどうかを判断する。
米業界団体のUSAライス連合会は「コメに含まれるヒ素の濃度について懸念があることは認識しているが、コメの消費と健康への悪影響の直接的な関係を調べた信頼できる研究結果については認識していない」との談話を発表した。
同団体の顧問を務めたことのある専門家も、「(コメのヒ素)濃度は高くない」と強調し、「ヒ素は果物、野菜、コメを含む穀類などあらゆる食品に含まれている。コメは安全で栄養価の高い食品だと思う」と話している。